「...Only To Be With You」

2019年12月5日(木)、
初めてのさいたまスーパーアリーナにて、U2ライヴの初体験。
The Joshua Tree Tour 2019」 --
来日発表後、迷わずチケットを予約したが、
今まで決して熱心なU2ファンであったことはない。
(そもそも今までライヴを見ていないくらいだし。)
アルバムをちゃんと聴いていたのは、「Achtung Baby」まで、
その後も「Vertigo」のようなヒット曲がラジオでかかれば、
「お、U2だな」と耳を傾ける程度だった。
それでも、「今回のツアーは見逃せない!」とスイッチが入ったのは、
色々な意味で「今、見ておかないと!」と思ったからである。

グッズ売り場で長時間並ぶことを想定し、早めに到着したのだが、
いざ蓋を開けてみたら、拍子抜けするほどあっさりとTシャツを購入できた。
S席は入場ゲートが一番遠くて、会場をぐるりと回らねばならない。
この時点で「終演後に駅までたどり着くのが大変だな」と思ってしまった。
開場時間の18:00までしばらく列に並んで待つ。
それほど冷え込みのキツくない夜だったので助かった。
入場時には荷物検査とボディーチェックがあり、
持ち込めるPETボトルの飲料水は未開封のものだけ、と厳しい。
ぞろぞろと入場し、真っ先にトイレを済ませてから、席へと向かう。
発券された時点で座席表をちらっと確認していたが、
ステージに向かってう~んと右側、
ほとんど真横に近いスタンドの最上部ではないか。
(階段を上がるのが大変だった。)
...思いっきり遠い。
まぁ、どっちにしろ良い席なんて期待してなかったし、
まさか立ち見のアリーナでおしくらまんじゅうをする気はしないし、
チケットを取れなかった友人のことを考えたら、
こうして見られるだけありがたいと思わねば。

その後はPAから流れてくる70~80年代の曲を聴きながら、
ひたすら待ち続ける。
スクリーンでは様々な詩人の言葉がスクロールされていて、
日本向けなのだろう、まどみちお(「どうしてだろう」)や
宮沢賢治、紫式部などの作品も含まれていた。
開演時間は19:00だと思い込んでいたのだが、実は19:30だった。
アリーナの立ち見エリアがどんどん観客で埋め尽くされていく。
同世代のファンも多いだろうに、さぞかしキツいだろうに。
エラいよな、みんな。

19:45過ぎ、The Waterboysの曲を合図にようやくバンドが登場。
ドラムのLarryが先に立ってBステージのドラムキットへと向かうと、
他のメンバーが続き、もったいつけることもなく、
あの「Sunday Bloody Sunday」のビートが
重々しくも切れ味鋭く刻み始められるのだった。
なんとカッコいいオープニング!
The Edgeのギター、Bonoのヴォーカル、Adamのベースが加わり、
40年以上やってきたバンドにしか出せない深みと厚みを持った音」を
満員の観客に向けてドカーンとぶつけてきた。
この1曲だけで思いっきりやられてしまう。

会場の規模からPAの音にはあまり期待していなかったが、
予想よりもはるかに良質だ。
(これはPAに近い場所だったからかもしれないが。)
2曲目は(今回のツアー初登場となった)「Gloria」、
そして(個人的には初めて彼らの曲をラジオで耳にした)
New Year’s Day」へと続く。
まず初期の代表曲を演奏する構成だとは知っていたが、
The Unforgettable Fire」からの「Bad」の後半、
スタンド席で観客がかざすスマホのライトがきらめく中で、
Bonoが「Tetsu NAKAMURA... a great man」と
昨日アフガニスタンで亡くなった中村哲さんと
NGOペシャワール会を称える言葉を発し、
Pride (in the Name of Love)」へと突入。
不覚にもここで目頭が熱くなる。
この瞬間はずっと忘れないだろうな、
やっぱり見に来て良かったな、と思わずにいられなかった。

とにかく、バンドの演奏が文句なしに素晴らしい。
さすがにBonoのヴォーカルには以前ほどの勢いやハリがなくなったけれど
The Edgeの弾くギターのカッコ良さにはゾクゾクさせられた。
(FUJI ROCKでNeil Young Crazy Horseを見た夜を思い出した。)

いよいよメインステージに移動して、本編とも言うべき
The Joshua Tree」の全曲演奏が始まる。
目の前に座った同年代の女性、既にかなりノリノリだったが、
遂に立ち上がって踊り始める。(お~い、ちょいとジャマだよ~。)

8K映像が投影される超巨大スクリーン(約60×14メートル)、
自分の場所からだとせっかくの壮大なアメリカーナの景観も
ぶつ切り状態でしか見えないのが残念。
ステージ真正面から見たら、さぞかし圧巻だろうなぁ。

さすがに「I Still Haven't Found What I’m Looking For」で
ゴスペル隊が登場することはなかったが、遂にナマで聴けた、という感じ。
U2で一番好きなのはAdamのベースラインだと常々公言してきただけに、
With Or Without You」のイントロだけでもぐっときてしまうのだが、
ライヴだとLarryの引き締まったドラミングが本当にカッコいい。
Bullet the Blue Sky」のギターソロ、Bonoがスポットライトを手にして
The Edgeと絡むのは、「Rattle And Hum」でお馴染みのシーン。
Red Hill Mining Town」ではスクリーンに映し出されるブラスバンドと、
ステージ上のバンドの演奏がしっかりシンクロしている。
こうしたビジュアルと音を一体化させる最新テクノロジーだけでも、
1980年代よりは飛躍的に進化しているのだろうから、
「2019年ヴァージョン」でライヴ体験できるというのは、
やっぱりありがたいことだ。

曲の持つメッセージ性にしても(決して喜ばしいことではないが)
今の時代にも通じる部分が多いせいか、驚くほどノスタルジアを感じさせない。
現役感というのか、(誰とは言わないが)某大御所バンドとかの
再結成ライヴとは圧倒的に異なっていた。

アルバムB面からの曲はA面と比べるとかなり地味な印象だが、
蝋燭を手にした女性たちがスクリーンに登場する
Mothers of the Disappeared」のフィナーレは感動的だった。
これにて本編終了かと思いきや、再びBステージに戻って
Bo Diddley Beatの「Desire」をブチかましてくれてから
(初日は「Angel of Harlem」だったらしい)
メンバーは一旦姿を消す。

アンコールも出血大サービス状態の8曲。
Vertigo」、「Even Better Than The Real Thing」、
そしてスクリーンにオーロラが映し出された「Beautiful Day」等々、
熱心なファンでなくても知ってるヒット曲を惜しげもなく演ってくれる。

「<HIStory>を<HERstory>へと書き換えていこう!」と
女性たちを称賛する「Ultraviolet (Light My Way)」では、
世界的に活躍するアイコン的な日本人女性
(川久保玲、草間彌生、小野洋子等々)がスクリーンに登場。
そう、うんざりするような男尊女卑の時代はもう終わりなのだ。
ラストナンバーは、やはりこれしかないだろうという「One」 --
ただ単純に<ひとつになろう>と団結を訴えるのではなく、
<お互いの相違点を認めつつ、ともに生きていこう>というメッセージ。
ステージの照明が消え、会場内のあちこちでスマホのライトが揺れ動く中、
3部構成で全25曲、2時間半近かったライヴがようやく終わりを迎える。

かつてはボノの<活動家>っぽいところが苦手だったりしたけれど、
世界各地で分断と対立ばかりが目につく時代になってしまうと、
彼らのひたすら前向きで希望を失わない姿勢に
素直に勇気付けられてしまった。
だから、このような素晴らしいライヴを、
このタイミングで見ることができたのは、
本当に幸運だったとしか言えない。

「平成」が終わり、「令和」が始まった一年。
その締めくくりにふさわしい夜となった...
ありがとう、U2。


U2 “The Joshua Tree Tour 2019 “
@ Saitama Super Arena, 05 December 2019

【Set List】:

1. Sunday Bloody Sunday
2. Gloria (Tour debut)
3. New Year's Day
4. Bad (with Bono’s tribute to Dr. Nakamura and "The Boxer" snippet)
5. Pride (In the Name of Love)
6. Where the Streets Have No Name
7. I Still Haven't Found What I'm Looking For
8. With or Without You
9. Bullet the Blue Sky
10. Running to Stand Still
11. Red Hill Mining Town
12. In God's Country
13. Trip Through Your Wires
14. One Tree Hill
15. Exit
16. Mothers of the Disappeared
17. Desire
(Encore):
18. Elevation
19. Vertigo
20. Even Better Than the Real Thing
21. You're the Best Thing About Me
22. Beautiful Day
23. Ultraviolet (Light My Way)
24. Love Is Bigger Than Anything in Its Way
25. One

U2.jpg

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