「That chop chop guitar like a Chinese meal...」

2020年2月1日(土)、渋谷のDUO MUSIC EXCHANGEで
Hugh Cornwellの来日公演(一晩2ステージ!)を見た。

5年前にも36年ぶりに来日し、高円寺で2晩ライヴをやったが、
今回は一昨年リリースされた最新作、「MONSTER」の収録曲を
中心にThe Stranglers時代の代表曲を盛り込む構成だった。

HCが突然脱退したのは1990年夏の終わり、もう30年も前だ。
自分にとってはそれまでの10年余り、最も愛したバンドだったから、
そのニュースを知った時のショックといったら、とてつもないものだった。
しかし、その後のソロ活動も(本人がどう思っていたかはともかく)
あまりパっとしたものとはならず、その一方で、かつて活動をともにした
バンドも解散の危機を何度も乗り越えて、しぶとく生き延びている。

そのStranglers、昨年11月には東京のみながらも単独来日公演を果たし、
自分は2日目のステージを見たが、大いに盛り上がった。
ファン歴40年の自分でも、今さらHCに昔のバンドに戻ることなど望んでいない。
だが、HC抜きのバンドを見て、同じように満足できるか、といえば
答えはどうしても「NO」なのである。JJBには本当に申し訳ないけど。

そして、何よりも今回のHCのライヴで楽しみにしていたのは、
「MONSTER」からの曲をナマで聴ける、ということだった。
個人的には2000年発表の「HI FI」と並ぶ傑作と思っている。
実の母に捧げた曲で、アルバム制作のきっかけにもなったという
「La Grande Dame」で聴かせる、あくまでもクールでドライ、
なのに不思議な艶かしさを感じさせるヴォーカルとギターのフレーズ

あれこそが彼の真骨頂であり、ちっとも衰えていない。
そこらへんのミュージシャンにはなかなか出せない世界だろう。

Stranglersの3公演のうち1回しか見に行かなかったのに対し、
HCの2ステージはどちらのチケットも迷わず即時購入していた。
その辺にも自分の期待感の違いがハッキリ出ていたと思う。
あえて誤解を恐れずに言えば、新たな音楽作りに現在進行形で
取り組み続ける姿勢は、HCの方が圧倒的に上回っているのだ。

まずは1st Set。
開場時間の15:30pmから整理番号順に入場。
今さらだが、お客さんの年齢層の高さに面食らってしまう。
(そう、テメエのことはさておき、だ。分かってる。)
ギターアンプの位置を確認し、ステージ正面に向かって左側、
なんとか最前列のポジションを確保する。
別にどうしても至近距離で見たかった、という訳じゃない。
もたれかかっていられる「柵」が必要なのだよ(!)

延々と待たされて、16:30pmより開演。
もう70歳になったHC、さすがに老けたよなぁ、という印象。
しかし、1曲目の「Pure Evel」が始まると、不安感は一瞬で消えた。
あの声。そして、あのギターだ。間違いない。
「MONSTER」では特にギターワークの素晴らしさに心を奪われたが、
ライヴとなると、歌とギターの両方を同時にこなさなければならず、
どことなく危なっかしい(?)弾きっぷりに思わずニヤけてしまった。
決してテクニックをひけらかすようなギタリストではないけれど、
彼だけのスタイルとサウンド、もうそれだけで嬉しくなってしまうのだ。

今回もバンドはトリオ編成、タイトに引き締まったリズムセクションが、
親分をしっかりサポートする。特にベースの若者は大活躍だった。
「MONSTER」から演奏したナンバーでは、ステージ後半の
「Bilko」や本編ラストの「Duce Coochie Man」で展開した
有機的な演奏が、ライヴならではの醍醐味にあふれていた。
HCもこのトリオでドカン!と音を出せるのを楽しんでいたようだし。
演奏時間は70分ちょっと、個人的には「NOSFERATU」からの
インスト曲「Mothra」(=日本の生んだ偉大なるモンスター!)と、
JJBの持ち歌である「Thrown Away」が嬉しいサプライズとなった。

その一方で「Hanging Around」などは、なんとなく投げやりというか、
端折ったようなというか、(熱さの感じられない)雑な歌い方が
どうにも気になって仕方ない。(本人もいい加減飽きているのか?)
ギターアンプにも問題があったようで、スタッフを何度も呼びつける。
アンプをコンコン叩きながら冗談半分に文句を言っていたが、
昔だったらもっとトゲトゲしく、不機嫌モードになっていただろうな。
アンコールは「No More Heroes」で、とりあえず前半(?)終了。

そして2nd Set。
18:30pmから再び年老いた観客がゾロゾロと入場開始。
どうやら親子で見に来ているファンもいるようだ。素直に微笑ましい。
今回は最前列ではなく、もう少し離れたところから落ち着いて見よう、
ということでステージに向かってやや右側、「柵」にもたれる代わりに、
「柱」に寄りかかっていられそうな場所を確保する。
とにかく、身体をどこかで支えられないまま立っているのはツラいのだ。
つくづく情けないけど。

19:30pm過ぎ、再び3人がステージに登場。
1st Setよりもお客さんが入ったようだし、自分の居場所も
関係しているのだろうが、今回の方が全体的に音のバランスが良い。
ギターのシャープな音色もちゃんと聴こえて気持ち良いし、
リズムセクションの二人も含めて、ずっとノリが良くなってきたようだ。

「MONSTER」からの曲はそのまま(残念ながらLou Reedに捧げた
「Mr. Leather」はどちらのセットリストにも入らなかった!)で、
ソロ作やStranglers時代の曲を入れ替える構成。
「Peaches」や「Tank」を立て続けに歌えば、さすがに盛り上がる。
「Duchess」や「Skin Deep」には、ポップで良い曲だなぁ、としみじみ。
どうしてこういう曲が日本でヒットしなかったのだろう。
そして、「やはりこの声でないとダメなのだ」と思ってしまう自分。

その一方、本編と比べて残念だったのがアンコールである。
なんと、またしてもJJBの持ち歌である「Five Minutes」を
取り上げていたが、「Thrown Away」ほど楽しめなかった。
喜んでいるお客さんは多かったが、「なんでこの曲?」と戸惑う。
JJBの曲なら、「Don’t Bring Harry」が聴きたかったのだけど。
さらにもう1曲が「Grip」で、こちらも大いに盛り上がったが、
「X-CERT」冒頭を飾るアドレナリンが出まくった爆走ヴァージョンと
比べてしまうと、どうしてもヴォーカルに熱さ、力強さが感じられず
(そりゃ70歳なのだから、昔と同じようにはいかないだろうが)、
これがラストナンバーとなってしまったのは、ちょっと残念だった。
1st Setより1曲多い全18曲で後半終了。
まだ20:50pm、そのまま会場に残っていれば、本人がサインや
写真撮影のリクエストにも応じてくれたのかもしれないけど、ずっと
立ちっぱなしで疲れていたので、さっさと会場を出てきてしまった。
フレンドリーなJJBと比べると、HCはなんとなくアプローチしにくくて。

「MONSTER」からの新曲をライヴで聴きたい!と思っていたから、
今回の2ステージは大いに楽しんだし、満足した。
本人と直接話せたら、あのアルバムをどれだけ気に入ってるか、
それだけ伝えておきたかったな、と思う。
すっかり老け込んでしまったとはいえ、HCの「今を生きる」姿には
カッコ良さを感じる。(カッコいいのはJJBも同じだが、ちょっと違う。)
Stranglers時代の曲に関しては、「Thrown Away」のように
新たなアレンジが功を奏していれば、素直に喜べる。
ただ、当時の曲をキーボードなしで聴くのは、やはり物足りない。
長年のファンとして過去のイメージを追い求めてしまうのであれば、
昔のレコード/CDやYouTubeで楽しんだ方が良いのだ。
これは、もはやどうにもならない現実。
昨年のStranglersのライヴでも感じたことではあったけれど。
以上。

*今日の一曲:
 『Mr. Leather』 by Hugh Cornwell (2018)


 Dear Lou, so many words, too little time
 That’s probably something you found too
 So long ago sitting around
 We were wondering what it was that made you glow
 That chop chop guitar like a Chinese meal
 You were the city, you were the cool
 Way before we’d even been there

 Mister Leather, Mystic River
 Smoky glasses, what were you looking at?

...う~ん、ナマでこれ聴きたかった!
そーいえば、ステージ衣装はもうちょっと、オシャレして欲しかったな。
(別に着飾って出てくる必要ないけど、あの普段着では...)

p.s.
しっかし(こればっかり言ってるが)立ち見はツラいよなぁ~。
4月のぼぶ来日公演がちょっと心配だったりして。


01 FEBRUARY 2020
HUGH CORNWELL at DUO MUSIC EXCHANGE,
SHIBUYA, TOKYO

1st Set:
01. Pure Evel
02. La Grande Dame
03. Nice ’N’ Sleazy
04. Goodbye Toulouse
05. I Want One Of Those
06. Stuck In Daily Mail Land
07. Hanging Around
08. Duchess
09. Monster
10. Mothra
11. Golden Brown
12. Thrown Away
13. Bilko
14. The Most Beautiful Girl In Hollywood
15. Nuclear Device
16. Duce Coochie Man
17. (encore): No More Heroes

2nd Set:
01. Pure Evel
02. La Grande Dame
03. Peaches
04. Tank
05. Land Of A Thousand Kisses
06. Under Her Spell
07. Duchess
08. Strange Little Girl
09. Monster
10. Mothra
11. Skin Deep
12. Bilko
13. The Most Beautiful Girl in Hollywood
14. Golden Brown
15. Thrown Away
16. Duce Coochie Man
17. (encore): Five Minutes
18. (encore): (Get A) Grip (On Yourself)


HC.jpg

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント