「Lord, protect my child...」

...やっと新しい年がやってきた。
とにかく、2016年は色々あって、「最悪」としか言いようのないものだった。
あらためて自分の脆弱さを思い知り、うろたえ続け、途方に暮れた。
でも、最後の最後に、ちょっと素敵な(でも悲しい)出来事があったのだ。
2017年の幕開けに、そのことを書いておきたい。

クリスマスも過ぎ、George Michaelの突然の訃報に驚いていた頃...

「私の父が高校時代に親しくしていた日本の友人、
○○さんは、ひょっとしてあなたではないでしょうか?」


と尋ねる英文のメッセージが、遠い異国の地から、いきなり届いたのだ。
送信者の苗字を確認すると、そう、確かにあの懐かしい相棒と同じだ。

遠く離れた国で暮らし、10年前から音信不通だった相棒。
メッセージを送ってくれたのは、ヤツの次男坊で、昨年18歳になったばかり。
ちょうど10年前、まだ彼が8歳だった時に父親が他界していた事実を
今回、ようやく知ることとなった。
父親の遺品にあった古い写真や手紙を見つけ、接触を図ってくれたのだ。

連絡が途絶えた当時、「ひょっとして...」という恐怖が何度も脳裏をよぎった。
残念ながら、その予感が当たっていた訳で、それは本当に悲しいのだけれど、
息子の写真を目にすれば、それこそ自分が知っていた頃の相棒に瓜二つ、
「えっ?」と何度も見直してしまったほどだった。

あの懐かしき相棒が、もうこの世にいない。
その事実はどうしようもなく受け入れがたく、ツラいものだ。
それでも、ヤツの息子は立派に育って、青春を謳歌している。
見知らぬ者同士がソーシャルメディア経由でつながってしまうのも、
世間的にはよくある話なのかもしれないが、
実際に体験してみると、やはり感慨深いものがある。

...とにかく40年近くも前のことだから、忘れてしまったことの方が多い。
お互い転校生の「legal aliens」として知り合い、仲良くなった。
ヤツは、典型的なラテン気質というのか、とにかく天真爛漫、
底抜けに明るく、楽天的で、その瞳はいたずらっ子のように輝き、
どうしようもなくスケベで、速い車と音楽をこよなく愛した。
卒業後、大人になって再会する夢は遂に叶わなかったけれど、
(次男坊の隣で優しく微笑んでいる)相棒の写真を見れば、
ヤツが少年の心を失っていなかったのは一目瞭然だ。

すっかり意気消沈したこの中年男の情けない姿を見かねて、
ヤツがはるばる天国からメッセージを送ってくれたのだろう。
「生きてるだけマシだろ?しっかりしろよ!」と。


*今日の一曲:
 『Lord Protect My Child
 by Bob Dylan (1983)

As his youth now unfolds
He is centuries old
Just to see him at play makes me smile
No matter what happens to me
No matter what my destiny
Lord, protect my child

He's young and on fire
Full of hope and desire
In a world that's been raped and defiled
If I fall along the way
And can't see another day
Lord, protect my child


1983年の春、「Infidels」のセッションで録音されたが、
The Bootleg Series Volumes 1-3」(1991年)まで
未発表のまま埋もれていた(もうひとつの)<隠れ名曲>。
「Forever Young」と同様、我が子への想いがストレートに歌われている。
Susan TedeschiによるCover Versionも捨て難いが、
とりあえずここではDylanの歌とハーモニカが感動的なOriginalを。
彼のノーベル文学賞受賞は、昨年の数少ない嬉しいニュースだったし。

ずっと愛聴してきた曲とはいえ、今回の出来事があって、
愛する妻と幼い子供たちを残したまま、まだ若くして
この世を去らねばならかった相棒に思いを馳せると、
どうしようもなくこみあげてきてしまうものがある。

親愛なる友よ。安らかに眠れ。
いつかあの世で俺を見かけたら、大声で呼んでくれ。
あの頃のように。

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